「 夏を歩く 」/椎名
 
複雑な想いを孕んで熱風が吹く
季節は夏
まぶしいほどの青空と憎らしいほどの太陽
白い雲は元気よく
アスファルトの上では情熱さえも煙を上げる

じりじりと焦げ付くよ
流れる汗さえ蒸発させて
ぶすぶすと煙を上げる
こころ

けだるさに飲み込まれて
動きの鈍くなった頭が
こころが
昔は心地よかった
夏だからと
それだけの言い訳で

立ち上がる気力
無くてもよかった
あの頃は

秋になるまで一休み
それでよかった
あの頃は

今は
焼け付くようなアスファルトの上
歩き続けるこの足
まわらなくなった頭を
自分の手でまわして
まわして

のたうちまわるこころを
押さえつけ
押さえつけ
足裏から煙を上げながら
歩く

歩く
見えない明日を
追いかけるように


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