「精霊、山の手」/菊尾
 
らはずっと一人さ。」
「そう、、なんすか・・・」
「フラっとしたくなってね。急に。堕落していた私はどこか遠くへ行きたかった。
 それで気がついたらこの山に来ていた。そこからはこんな生活さ。」
「大変だったんですね。」
「なーに慣れればここの暮らしも悪くないさ。」
「そうっすか・・・。娘さんとかに会いたいとか思わないんですか?」
「・・・会いたいさ。10年だ。娘も成長しているだろうしな。一目だけでも見てみたい。」
「じゃあおじさん。ここに居ちゃダメですよ!」
「そうなんだが・・・なかなか・・・な。」
「大丈夫っすよおじさん。明日一緒に山下りましょうよ!」

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