「精霊、山の手」/菊尾
 
「はぁ?」
「雰囲気出るだろ。そう言った方が。」
そう言っておっさんは冷蔵庫から弁当を持ってきた。
「さぁ遠慮するな。敬遠するな。食べなさい。私の分まで食べなさい。」
「あんたも食べたらいいでしょう。」
「ダイエット中ー」
「キモいっすよ。」
「娘の口癖だったんだ。」

「娘。娘って。なんなんすか?」
「これを見て見なさい。」
おっさんはそう言ってミノから写真を取り出した。
「それ、仕舞えるんすか?ミノの中どうなってんすか?」
「いいから見なさい。」
松たか子のプロマイドだった。
「なんすかこれ・・・」
「・・・すまない。これは私の趣味
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