風の岬/草野大悟
風の岬にきてごらん
なにかがきみを待っているから。
風の岬にきてごらん
化石になれない詩が
進化しつづける言霊が
梢のさきで戯れてるから。
風の岬にきてごらん
夢はむ牛 に 泳がぬ魚
乾涸らびた干潟 と 痘痕の海
飛べないペガサス、弱気なイカロス
みんなみんな待っているから。
きてごらん
ここへ
ひゅーひゅーと泣き叫ぶ
光の春に。
そして
ながめてごらん
きみの中のきみを
何十億年ものあいだ
人になろうと
佇むきみを。
風の岬にきてごらん
きみが忘れたきみがいるから
きっと
きっと
待っているから。
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