希望的妄想と邂逅/秋也
 
君は岡本太郎氏の『明日の神話』を前に
たった一人で写生している子供がいるとして
男の子であって欲しいと思うか
それとも、女の子であって欲しいと思うか
僕はどうしても
その子供は僕であって欲しい
性別はどちらにしろ
子供が絶対的に僕であって欲しい
致命的なことにしろ
それが総てということだ

アダム・ペインド・ダラー曰く
人に運命があるならば、人は行くべき場所に必ず辿り着ける

つまり子供は迷わず『明日の神話』に出会い
熱心にわくわくしながら写生しなければならない
なぜなら子供は性別云々の前に僕であって欲しいからだ
間違っていることだとしても
自身でなければ困る

だから誰もいない岡本太郎氏の『明日の神話』の前で
涙を溜めながら
鼻水を垂らすのを我慢して
「君はすごい」と
いるはずのない子に向って声をかける

アダム・ペインド・ダラー曰く
人は「だれも気づいていない」と浮かれる時こそ、ありきたりの過信に溺れている

人生とは一様にそんなものだ
僕も、子供も、太郎氏も、行くべき場所へ必ずおさまるのだから。
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