青足は且つ踊りて/黒川排除 (oldsoup)
 
の鍵は他人の手に渡ってしまった あてもなく あてどころにたずねあたらず こうして歩いていると 身を透かされる思いだ 煙に憧れるところがあって どれほどの高台に立ったとしても それが演説の途中であれば 偽札の印刷で富を築いたとは言えない 身の潔白は清潔感から装う 純白のレジスター 何も書かれていないレシート インテリアショップの片隅 テーブルの足を四つん這いでくぐり抜ける児童 誰にもこんな時代があったのだろう わたしはおそらく 考えられないぐらい大きな門を知覚することが出来ず いつの間にかくぐっていたのに違いない 例えば入り口で踏みとどまっていれば 例えば地図が正確なら 例えば純粋なはずだったら こんなにも困惑しはしないだろう いまさら祝われる正月 散る葉降る葉のひろがり・かさなり 枝葉の迷い道は暗い 平穏を乱す螺旋の描かれた木のうろを抜ける わたしはある忘れられた 羊毛の曲線を辿り 誰も誰も誰も 期待などしていない場所に ひとつずつ 塗りたての足跡を残していく
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