ノート(しずく)/木立 悟
 





似かよった街の
似かよった道の行きつくところに
友人の建てた家があるという


何年も何年も借りたままの
いろんなものを返しにゆく
川辺にはワニがいてこちらを見る


何ということもない家
変わってしまった妻
友人はその日いなかった


笑われ 憐れまれ
何も言えず
ただ玄関に置いて外へ出る


原へ消えようとも考えたが
滴になる覚悟もなく
雨の道を帰るしかなかった














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