ノート(関係ないから)/木立 悟
 




海の下に玉子焼きがあり
みんな食べたがっていたが
ペンギンが持ち帰って布団にした
関係ないから


道を曲がるたび
違う名前で呼ばれたが
みな背広と笑顔しか見ていなかった
関係ないから


樹も氷もいなくなり
ひとり残らず金持ちになったが
息をしているものはいなかった
関係ないから


顔も声も住んでいるところも
わからない人が亡くなって
わかるのは言葉だけだった
関係ないから











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