夜の歌に寄せて/かとう ゆか
 
憧れの夜 夢みるは夜
人は光をともす
乳飲み子は眠る

眠りを妨げるのは 飢え
飢え が 夢からうつつへ
声を あげさせる

そうして光の乳房にすがることができたなら
満たされては 夢の なかへ

夢のような充実 とは
飢えや貧しさ妬みや醜さ悪意からは
遠く 隔たった光の なか

どんなかすかな音色をも邪魔しない
光の沈黙
圧力のない抱擁
昼のまどろみ

光は熱となり
いまようやく目をさます

熱はいま 光を背に 夜のなかへ
声を あげる
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