光について或いは闇について/草野春心
 


  光がきみの眼窩に指を差しいれ
  事実も嘘も一緒くたにえぐり取ってしまう
  そこに残るのが闇なのか光なのか
  きみには決してわからない



  光と闇は共に戦っているのだ
  不在という巨大なダンジョンのただなかで
  きみはそれから逃れられない
  争いがきみをかたち作り
  心は絶え間ない流血によって満たされる



  一瞬の光でありたいと同時に
  永遠に何かを問い続ける闇でありたいと思う
  だれかの陰影になることで
  その輝きに寄り添っていたいと思う
  不可能なことだと知っていても



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