まぶたの海/唐草フウ
 
(1)
まぶたには
海よりもたくさんの
なみだ というものが
満ちては引いて
ときに こぼれます

しあわせな、いちにち
うつむいた、いちにち

わたしは顔をあげて
まるで洗面器にためるように
海をつくります
ながれでたものに
感情をつけるとしたら
「じぶん」になります


かなしいさかなも
うれしいさかなも
およぎます



(2)
完ぺきに歩けない、という者と
完ぺきなんて求めない 女が
手をつないで
フープをつくると
だ円の海ができました

でも手をはなすと
もれてしまうので
どっちも泳ぐことができません

だれも入ること
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