かじ/
久野本 暁
ただシンプルに ひいてはもどす
うららかな茫洋の昼下がり
たわんだシワを たたいてのばす
雑音がせめぎあう白昼夢
自分にもきこえない鼻歌
薄くあいた瞳の先を攻め込む
自分に同居するノイズを
優雅に振る舞えるそよ風
蒸発する水滴がステレオになる
やってくる平穏をとりつくろうため
戦争の一つの形
ちりあくたの全てを引き受けて
ただシンプルに ひいてはもどす
軽やかな音調の昼下がり
たわんだ線を たたいてのばす
雑音の鳴り止む白昼夢
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