なしくずし/ホロウ・シカエルボク
、凡百の言葉よりはましだという気がしたからそいつは俺の心中に生き残った、生き残ったけれどどことなくつきあい辛かった
なしくずしに持っていってしまえ、なしくずしに持っていってしまえよ
俺の名はなしくずし、その在り方以外に構築できるものなど何もない
こうしてぼろぼろと
崩れた壁の裂け目めがけて言葉を投げかけてなんになる
ちょっとばかり誰かに気に入られたからってそれがなんになる?
俺の名はなしくずしだ、その名以外に意味などないのだ
なしくずし、という言葉は
心臓の辺りに刺青のように彫られている、それがいつそこにあったのか知らない、俺はそれがそこに生まれる過程を見たことがない
俺の名が生
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