ひとつ つながり/木立 悟
糸の光が
階段をのぼりきり
壁にもたれて息をしている
痛まない傷が増えてゆく
気づかないまま
熱が流れ落ちてゆく
水に立つ片足
からだをすぎる火の粉の
ひとつひとつが空になり
近くやわらかく降りつもる
何も持たない青のなか
静けさも叫びも途切れない
土の下で目を見ひらくものが
空と季節の楔を赦さず
見ひらいては見ひらいては燃している
元の名前 別の名前
壁と壁のあいだにひらき
今の名前には戻らない
道の上の蝶
土と炎を見つめる蝶
ただ静かにそこに居るだけで
あなたはずっとあなたでした
誰にでもできること
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