こはるびよりの/草野大悟
 
こはるびよりのひだまりで
つりをしながらあくびをすると
ぽろっとくびがころげおち
ついでにうでもころげおち
なかよくはりぼてけりながら
うみのうえをかけていった。


いそにのこされたぼくは
もう
なにをやっていたかもわすれ
ただ
ぼんやりとたたずんでいた。


あのこえをきけ。

あのこえをきけ。

おまえのなかのあのこえを。


そらのかなたから
うみのそこから
くものながれから
だれかがささやきかけ

ぼくを
つっていたはずの
ぼくは
いつのまにか
かぜになって
ぼくのなかへと
むかっていた。
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