森の夢ー古いボート /前田ふむふむ
朝が、指先に立ち上がり、
思わずわたしの鼓動に、微熱をあたえるが、
砕けた夢からは、寒々とした流砂が、零れおちてゆく。
美しくみずのように癒されたい。
曲折する願望は、森のいのちを刻む、
みずのたおやかな静けさを、
わたしの、冷めた呼吸のなかに浸して、
滑らかな岩を撫でる、清流の意志に身を沈める。
森の戯れとともに沈む、眠りの空は、
わたしの鮮やかな視野を、飲み込んで、
森は、夢を、もえる緑野のなかで閉じる。
うすい陽だまりがうまれて、
鶏が、忘れた鳴き声を上げる。
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