創書日和「未完成。」/狠志
 
空の器に、水が溜まりすぎたのだろうか。

ぽたぽた、と。

零れてきた。

少し暖かくなってきたけど、

冷たくて、ちょっと重かった。

零れてきたから、手で器を作ってみたけど。

キレイじゃないから、そこかしろから、

また零れた。

僕の器から零れたのは、少し暖かくて、

ちょっと、しょっぱかった。

零れ落ちた、それは、どこまでも。

落ちていってた。

いつの間にか消えていたけど。

まだまだ零れてくる、それを。

僕は、僕の未完成の器で、受け止めようとしていた。
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