五月/音阿弥花三郎
 
風のバラ
とはわたしの愛した詩人
の五月
をうたう冒頭のことばだ
しかし
肉厚の花びらをかさね
内部へ密度を増す花は
きみに似合っていない
むしろもろい花弁に
あざやかな色彩で
緑に埋もれることをしりぞける
つつじのむれ
思い出すだろう きみ
はなの咲く
都会の中にひろがる公園
風のつつじ
と歌いたい詩人としてのわたし
しかし歌えない
五月をすべて失ったから
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