豆腐/鈴木陽
 
大地、大豆を生み、大豆、豆乳を生み、豆乳はきめ細やかな穀物として、その子、湯葉と豆腐を生む。そして僕らは豆腐の気の遠くなるような清らかな白みを思い知るだろう。うんざりとする白さ。ため息の出る白さ。しっとりと瑞々しく水を湛える莫大な白みが箸の鋭い先端に触れると、果たして豆腐はぷっつりと裂け、その裂け目もまた豆腐のように豆腐。

ああうんざりして現前する豆腐の星。とろけるように清い豆腐の大地。永遠に尖ってゆく柔らかな白みの直方体が金ダライに張られ、重みに耐えかねるその稜線が、弧状にしなり、滑らかな窪地。清純の溜りが伸びている。湖は豆腐。つややかな豆腐が僕らの視界にそそり立ち、豆腐の豆腐たらしめる真
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