『魚の目』/東雲 李葉
ある日
壁の向こうは不思議な国で、僕は確かここで生まれた。
真っすぐなものは何一つ無くて温い空気で生きている。
パパはこないだ死んでしまった。壁の向こうへ連れていかれて。
向こう側には僕らとは違う奇妙な生き物が泳いでいて、
ぎらぎら光る尖った石でパパを叩いて切り裂いた。
「僕はなんで生まれたの?」賢いママに尋ねたら、
「綺麗な形で死ぬためよ」虚ろな両眼で外を見た。
パパがパパでなくなってもママはずっとパパを見ていた。
僕はそれを見たくなくって両目を閉ざそうと躍起になってた。
その日
僕は確か向こうを見ていて大きな目玉と目が合った。
ママは「逃げて」と叫んだけれど
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