楽園−エリシオン−/AKiHiCo
口移しで味わう毒薬は
最高の甘い蜜です
死は虚無ではなくて
現在ある心を
開放
するだけ
赤が弾けた口の中は
迸る憧れで充ちて
滲む視界の中で
ようやく捕らえたキミ
優しく私を見つめ
頭を撫でて
く
れ
ました
唇から零れる液体
温かくとろとろ
身体を伝って床へ
私の証を
私が居た証を
私が私が生きた証を
「ねぇ、楽園ではずっと一緒に過ごせるの、」
「ねぇ、楽園はどんな花が咲いているの、」
ねぇ、私はこれから楽園へ行けるの、
ねぇ、どうしてキミは来ないの、
怖くない怖くない
一人でも行けるのです
苦味に姿を変えた毒薬は
この身体を浚って
痛みを走らせます
嗚呼、キミの眼の中で
私は喘ぎながら
楽園へ向かうのです
一人きりで
大丈夫、キミはあの人と幸せになって
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