速度/Tsu-Yo
 
君の右眼は
スピードメーターになっていて
時速はいまや
300キロを超えようとしている

そんな夢を見て目覚める
とりわけ悲しい夢でもないが
涙を流す理由は充分に内包していると思う

速度について

何処かへ行くためではなく
今いる場所に留まるための速度
そういうものが確実に存在する

たとえば、乗車率200%で走る
オレンジ色の通勤電車
たくさんの始まらない物語を乗せて
今日も一日が始まる

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