日常/吉田ぐんじょう
 
の子がレジに差し出した
鉛筆や消しごむや定規なんかを
時間をかけてつつんでやった
不器用なわたしが作った不恰好な包みは
春の陽のにおいがして
子供たちは笑う
真っ白い光のようだ


ぐったりと疲れて車に乗り込み
国道を八十キロで走る
頭の中の八割は
もう死んでもいいのではないか
という考えでいっぱいだ
残りの二割は
君のことや職場のことや
エロいことで占められている

信号で止まったときに
バッグの中にいつも入れている
マシュマロの袋を開け
ひとつふたつ掴みだして口に入れた
甘くて柔らかいマシュマロは
なんだか女の人のようで
女の人を噛んでいるようで
ちょっとだけ欲情する
それで
死んでもいいのではないか
という気持ちを紛らわしている
いつも


※月刊未詳24に投稿したもの。

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