日常/吉田ぐんじょう
 

わたしの家の郵便受けには
朝になるといつも
赤い花がいっぱいに届けられる
露を含んでぽったりと
流れ出しそうな赤い花だ
どこかにわたしを好きな人でもいるのだろうか
捨てるに捨てられないので
たまにお風呂に浮かべたりしているが
しばらくすると溶け出して
浴槽の中は血のようになる
真っ赤なお湯のなかでわたしは
どうしていいかわからない
好かれているのではなくて
嫌われているのかもしれない


真昼の太陽は
レースのカーテン越しに
ひらりひらりと光を落として
その一枚ずつが
床の上で可愛い包装紙になる

それをこっそり職場へ持っていき
女の子や男の子
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