笑う、君/相田真理子
夏のことならば覚えている
青く燃えさかる空の下で
君が笑った
僕は無言でそれを見ていた
うねる熱風に汗が浮き出ても
君だけを見ていた
そして季節が半回転
冬のことならば知っている
今此処にある冷たい空気の中
君が笑った
僕はそれでも言葉を持たなかった
低下していく温度に指先がかじかんでも
口を引き結んでいた
あの暑さとこの寒さ
いずれも君を変えることなどなくて
そして僕も変わらなかった
一体何がもたらすもので
変えられていくのかも知らず
君が笑う 僕は見ている
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