暗夜の道 /服部 剛
 
遠くに浮かんだ憧れを 
指を咥えて見ていても 
訪れること無い幸福は 
舌を出して飛んでゆく 

路面に映る人影の 
胸に嵌(はま)った丸い水鏡は 
誰もいない夜道を往く 
独りの青い惑星 

街灯に照らされ 
淡く伸びる夜道の 
不思議な引力 

冷たい夜風に 
身を屈める私を 
つれてゆく 

闇塗りの向こう 
白い出口へ 




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