無題/
10010
私は薄暗い部屋に閉じ込められていて、毎晩(ここに来てからずっと晩なのだ)、手探りで秘密の通路を探す。私はいつもそれを見つける。通路を辿っていくと私を閉じ込めた奴の寝室に出る。秘密の通路は無数に穿たれているが、どの道を通っても私は寝室に彷徨い込む。奴が居る。秘密の通路。私は毎晩毎晩飽きもせず通じている。秘密とはこれであり、つまり文字通り、入り口が秘密なのではなく、通路が秘密なのであってみれば。
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