ダウナー/
有邑空玖
未だに微熱を引き摺っているよ
どうせ百年後には誰もいない
それでも続いていくのが不思議
遠くから蜩の声
夏でさえ終わりが来るのに
その腕は振り解いたんじゃなかった?
あたしから? それとも君から?
いつから此処にいるんだっけ?
……判らないよ。
沈み込んだ意識を葬りたい
手を伸ばしても届かないくらい
深い深い水底に
そしたらあたし きっと安らかだ
もう思い出さなくて良い
せめて寂しくないように
終わらないなら、永遠に夏を。
戻る
編
削
Point
(2)