ダウナー/有邑空玖
 

未だに微熱を引き摺っているよ
どうせ百年後には誰もいない
それでも続いていくのが不思議
遠くから蜩の声
夏でさえ終わりが来るのに


  その腕は振り解いたんじゃなかった?
  あたしから? それとも君から?
  いつから此処にいるんだっけ?
  ……判らないよ。


沈み込んだ意識を葬りたい
手を伸ばしても届かないくらい
深い深い水底に
そしたらあたし きっと安らかだ
もう思い出さなくて良い

せめて寂しくないように
終わらないなら、永遠に夏を。

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