揺り篭/戒途
 
揺り篭に揺られ、赤ん坊は泣いていた。
無意識に一生の悲しみを涙に溶かしていた。

いつの間にか忘れてた。
「違う」ことを拒まれていたのか。

いつからだろうか、幸せを掴めると勘違いしたのは。
隣にもあったから、俺にもあると思ってた。

俺は今、泣いている。ウタを聞きながら。
どうして、どうして、勘違いしていたんだろう。
悲しくて、悔しくて、俺は今、泣いている。
戻る   Point(1)