渡れ、鳥/霜天
紡ぎ方を忘れた鳥は、手のひらに何を刻めばいいのか
温度差、呼吸の深い、遠い
渡ることの出来なくなってしまった彼らを
僕らは繋ぐことで
(手のひらだったのか、どうか)
温めようとも、しない
都会の空は、吸い込むことを覚えた
風景の一番端に立った僕の影が
視線の隅で混ざり合っている
灰色の道と空と、海と、間の線
誰かが、「底だ」と呼んでいた
この空は吸い込むことを覚えた
吸い込むだけ、吸い込んで
耕す手を、誰も教えていない
飛び方を忘れたわけではなく
渡ることを夢見ない、わけでもない
離れては、掴み
壊しては、触れる
手のひ
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