鬼火/jin
繁り翳りめくるめく道のり
憂い喜び混ざりこころ濁り
淀む水鏡の我、乱れ暴れ割れても
親しく愛しい嫌悪、溺死に至らず
其れ、黒い魚の如く横たわり
嘔吐限りなく、行路腐り
逃れ隠れ爛れ落ちた暗がり
滞る苦しみねじれる身、震い虫唾走り
燻る浮き雲の影、悪い夢の如く垂れて
幽玄なる闇の蠢き、生き霊手招くままに
我、胸裏へと忌まわしき隧道下り
皮膚腫れ膿み、回路たぎり
跳ぶ鬼火、駆ける鬼火、焦熱のカタル
肝胆、白刃の如く切り裂き
照り揺れる懊悩、血汁の滴り
狂炎の奥うめく、千紫万紅の能面に
火ぶくれた我が身さらし這いずり
辿りつくはもぬけの臓器、無常のこころ
耳ちぎれ目玉裂け唇破けて
我、淡々と沈みゆく骨の道。
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