鬱金香(ウッコンコウ)/フクスケ
 
見えない風に震えていた
あの時
柔らかな時間に浸蝕された白い花弁のささくれ
鬱金香
が 首をかしげ始める
思い出すたびに
遠くなる指先の感触
言葉の誘惑に負けて
どんなに美しい言葉をかけても
お前は 押し黙る
鬱金香 という名の
ただ それだけの存在として
そこに ある

戻る   Point(1)