たんぽぽのバス/jin
暇なので
バスを見ていた
空は青い絵の具の垂れるよう
たんぽぽ柄の車体が走る
砂利道に揺れて
犬と追いかけっこして
まるい太陽の下、
熱っぽくなったら停車する
そこは、つむじ風の過ぎていく、
朽ちかけたバス停
乗客は誰もいない
開けて待つドアからは
蛙の鳴き声が入ってくるだけ
運転手はため息ばかりさ
…この町にバスなんていらない
裏窓から
バスを見ていた
オレンジピールみたいに暮れた空
たんぽぽ柄の車体が走る
下り坂を滑って
トンボとにらめっこして
長く伸びる影を引き連れながら
孤独を知って停車する
そこは、徒歩で帰る人々の過ぎてい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)