クレヨン/石畑由紀子
はないの、なぜなら
バーナードは
alright, no problem, 肩をすくめ
八の字の眉で
わらった
私は笑い
返せなかった、はじめて
一緒に笑えなくてこわばる口元の私に
ユキコの白い歯を見せてくれ、と
わざとおかしな顔をしてみせる
心優しきバーナード
私の壁にはあの日の私が
はだいろ の肌をして笑っている
南アフリカ スワジランドのどこかの一室に
私が描いた彼の絵は
今も飾られているだろうか
きっとまぶしい太陽の街の
まぶしい瞳
まぶしい
バーナード
心優しき褐色の紳士だった
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