クレヨン/石畑由紀子
 
はないの、なぜなら


バーナードは
alright, no problem, 肩をすくめ
八の字の眉で
わらった

私は笑い
返せなかった、はじめて
一緒に笑えなくてこわばる口元の私に
ユキコの白い歯を見せてくれ、と
わざとおかしな顔をしてみせる

心優しきバーナード




私の壁にはあの日の私が
はだいろ の肌をして笑っている
南アフリカ スワジランドのどこかの一室に
私が描いた彼の絵は
今も飾られているだろうか

きっとまぶしい太陽の街の
まぶしい瞳
まぶしい


バーナード
心優しき褐色の紳士だった






戻る   Point(9)