蛙/
城之崎二手次郎
井の中の蛙は外へ出たかった。しかし、何度跳ねても高い壁を越えることはできなかった。見上げる丸い空を、時々鳥が横切る。あんな羽が欲しいと思った。その気持ちは子供たちに受け継がれ、彼の孫のまた孫の背中に羽が生えた。家族たちが見守る中、その蛙が羽ばたいた。何度も壁にぶつかりながら、空を目指してのぼっていく。ようやく淵にたどりついた蛙は、よろこんで飛び跳ねた。それを飛んできた鳥がくわえていった。
あとがき。
二〇〇字物語第三十六弾。
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