ビタミン/霜天
新しい音が鳴り出すと
見上げてしまう癖がついた
国道沿いの滲んだ校舎の上
スピーカーが漏らす
ひずんだ音
ずっとずっと変わらない
ひとつ
呼吸のように響いては
震えている何か
僕等に必要不可欠なもの
羽ばたいていくもの
見えないところで循環しているんだって
伸び上がった街は空に突き刺さってる
ビルの顔をした四角い箱は
見上げても何も響かない
控えめに鳴らされるチャイム
ひずんだ音のスピーカー
クラクションのそばでたたずんで
見上げてしまう癖を
ひとつ
内側にこびりついた何かがぶるぶると震えて
ああ そうだ
これを待っていた
これを持って
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