透徹するフレームワーク/高島津諦
 
窓を閉め忘れて出かけてしまって
冷え切った暗い部屋は他人の所有物のよう
冷たくなるというのは きっとそういうこと

買い物袋を床に投げ出す
床に散らかった本やCDやお菓子の袋や洗濯物を極力避けながら
(それでもたまに踏んでしまい、それが壊れものでないことに感謝しながら)
窓に近寄り閉める
鍵はかけない
壊れているから
代わりに網戸を閉める
少し迷ってカーテンも閉める
外はまだ日差しの名残が漂っているけれど閉める

息を止めて腕を伸ばし
エアコンのスイッチに触れる
ぐわ、と震えて機械の箱が呼吸を始める
それで部屋は生き返り始める
照明の紐を引っ張りパソコンの電源を
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