花という花をあなたにあげよう/umineko
近くの。通勤の途中にラブホテルが3軒、軒を並べてるんだけど。
まわりがふつうの住宅街なのでおかしな感じだけど、もとはといえばこのあたり、細い路地の入り組んだ下町だったからね。もともとからあるんだ。街が、後からついてきた。
そのホテルの入り口、もちろん車の入り口なんだけど、車道から引き込む形でアスファルトがあって、建物との間の小さなスペースが花壇になってて。時々、おばあちゃんが手入れしてる。
今日通りがかったら、いつものおばあちゃんが手入れしてたので、思い切って声をかけてみた。
―きれいにしてらっしゃいますねー
「いやもう、ただただ好きなんですよ、心配になってね、枯れちゃあ
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