微吟(三)/信天翁
 
      にびいろの空がうつろに泪をためている
                      とき
              散策する縮んだ隻影は
          賛歌を忘れて灰色の血を吐いた。
        わくらばが春の嵐に打ちひしがれる
                      とき
                 路肩のつぶては
            思いやりの無銘碑となった。
       雑木林がひっそりと息を凝らしている
                      とき
                 逍遥のむら雲は
日々千切れるいのちのかけらを静かに吸い上げていた。
                 それでも まだ
         鼻歌でごまかしているやつがいる
                     内心は
         天地の永遠に融け入りたいくせに。




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