「 青春ピリオド 」/狩心
血と汗の匂いが現実味を帯びてくる
信じられるものがあるならば
人は変われるの?
戸惑いの空から私の血液が降り始める
私の血液があなたに輸血されていく
私の気持ちを確認したあなたは
突き刺された傘をさらに背中まで貫通させて
そっと私に近付く
私は傘の柄から手を放し
冷え切ったあなたの手を握る
二人で傘も差さずに歩き出す
雨はまったく私達に触れる事が出来ない
雨は時間が止まった場所にだけ降る気象現象
動き出した時間に
雨は追いつけない
そこはもはや居場所などという陳腐な言葉ではなく
流れゆく川のような心なのだから
物質がそこに
触れられるはずも無いのだ
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