優しい/
餅月兎
澄んだ湖に ぽいっ と
石が投げ入れられた
綺麗な水面が崩れるのを
少し切ない気持ちで
見ている
乱れた湖水をしずめるのに
この手のひらは
水になれぬ野蛮
かき回すことなら
容易いのに
伸ばし掛けた手を引っ込め
静かにしゃがみ込んで
しかしそこを離れず
しずまってゆくのを
待っている
戻る
編
削
Point
(15)