優しい/餅月兎
 
澄んだ湖に ぽいっ と
石が投げ入れられた

綺麗な水面が崩れるのを
少し切ない気持ちで
見ている

乱れた湖水をしずめるのに
この手のひらは
水になれぬ野蛮
かき回すことなら
容易いのに

伸ばし掛けた手を引っ込め
静かにしゃがみ込んで
しかしそこを離れず
しずまってゆくのを
待っている
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