累石/岡部淳太郎
るいるいと
つみかさなり
荒涼をうめつくす石
これは誰かの
さいぼうであるか
それらの石が記憶の
かけらであるとしたら
この場所に吹く風も
意味を孕むであろうが
ただ過去を予告する鳥が
卵のように翼をまるめて
いちばんおおきな石の上にとまっているだけだ
おそらくそこには何の世界も
網目のように交錯する感情も
ないであろう
石はそれぞれに
ただのひとりきりで
周囲の石と無関係に
散らばっているだけで
逸脱の 声のない遠さを
しずかに示している
るいるいと
つみかさなり
ひろがっては
荒涼をうめつくす石
これは私の
さいぼうであるか
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)