むらさきの むらさきの/木立 悟
 




脚を焼く火が
胸にとどく前に消え
ふたたび冠のかたちに現われ
両肩を抱き燃えつづけている


まばらな陽のなか
あなたは身を反らし
地と空のきわ
水と空のきわを
飛沫のように埋めつくす羽


夜のむらさきが
見えなくなってもむらさきのまま
森や原をひたしている
手からも器からもこぼれさまよう
あなたは
そのようなあつまりから来た


奥の奥にある傷の熱さを
ひとつの水がまわりつづけて
息やうずきや
治らぬ唱を聴きつづけている


宇宙を知らずに笑む声が
砂の庭に自身を描くとき
あなたは羽と冠を脱ぎ
炎だけをまとっている

[次のページ]
戻る   Point(6)