行く春/三州生桑
 
かげろふやガソリン一滴惜しむ日々

花散るや小猫は野辺に腐りつつ

病む祖母のひとみ濁れり藤の花

わが胸は花花花とうづきけり

秘めごとは肉の匂ひや落椿

佳き人のお尻は白し夢の春

夏近し不意に視線はからみ合ふ

荷風忌や詩のかなしさとみだらさと

春の夜の闇まさぐりぬ指のさき

行く春や恋の指南は嘘ばかり




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