退廃日報/餅月兎
太陽がブスブスと燃え尽きて
街がポツポツと独白を始める
厚化粧した流行が
人工の闇を闊歩する
巻き起こる風にそよぐビル群
氷だらけのジュース
灯りのない部屋に切り取られた小さな窓
ひとつの感染経路
吸い込まれるように叩く黒鍵
繋がろうとする試み
アルビノの兎のような眼
抜け落ちて意味を変えたネオンの文字
ショーウインドーの中で最高のポーズをとるマネキンとスパゲッティ
彼らから滴る
ファッション
四方八方を飛び交う
出発点の定かでない無数の矢印が
ぐにゃりと収斂し
精密な虚弱児の空疎な中心部を貫いて拡散してゆく
メーデー、メーデー
流行が
大挙して練り歩く
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