声に出すのが苦しいからとひっそりとつぶやくだけの日々が増えてゆく/春日
そうやって闇を光らせる、
例えば手をとって、
もう一度、
ただもう一度、
命に値段があるのなら、
ぼくはいくらつぎ込めるかな、
ひりひりと痛がった、
涙だけをのこして、
消えるとして、
花束はまだ届かないし、
届いてもきっと枯れるから、
なくなったものを惜しむのは、
まったく今さらなことじゃない、
呟いた言葉の片々を大事にして、
花をいけるときの水にそそごう、
あふれてしまうかもしれない、
溺死、
ごめんねは言えたのに、
ありがとうはまだうまく言えなくて、
咀嚼の回数が少ないのも、
果物が食べきれないのも、
きみのせいにしてみる、
拭えな
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