光過/木立 悟
にせものの葡萄のにおいがする
光のすきまを
さらに小さな光がとおる
貨物列車 埃の花
すぎる震え すぎる震え
高く遠く
直ぐに昇る鳥
真昼の星
青を青に打ちつける星
闇が闇に小首をかしげ
水に映る風を見る
ひとつの背が
隠しおおせぬ羽をさらし
洞のなかを蒼くのびる
鉄の涙の路をゆく
氷の棘が炎にあぶられ
いつまでもいつまでも溶けることなく
叫ぶようにゆらぎまたたき
透明を透明を透明を放ち
目を閉じ 痛みを見つめている
からだをめぐる声と光が
すべての骨に咲く花となり
見上げるもの見下ろすもの
立ち並ぶ視線
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)