ピンポンゲートなひと/恋月 ぴの
女子トイレに入ってきた
あなた
あっと小声上げたと思ったら
ばつの悪そうな顔して出ていった
なんだかおまぬけで可愛いよね
あれれ、わざとかな
石橋は疑って渡れ
ほとんどの誤りって勘違いの仕業
―だよね
「わたしはあなたこと愛している」
それはあなたの勘違い
―だったりして
そこから何かしらのドラマとか
はじまると良いのにね
気づかぬものは久しからず
勘違い、破綻してはじめて誤りだったことに気づく
そんな経験を嫌になるぐらい繰り返している
おばさんが男子トイレに入っていく
それは勘違いでも何でもなくて
Going My Way
―ってことなのかな
恥じらいとか優しさとか人間らしさを棄てたとき
ひとは勘違いだと気づくことさえ失う
スイカを自動改札機にかざしたはずなのに
ピンポンゲート閉まるのは
女性としての賞味期限過ぎたから
で、それがどうしたと開き直ってみたりする
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