卵/葉leaf
私は卵について語りたい。だが卵について語ろうとするとき、私は古傷をえぐられるような心の痛みを感じ、私の心の流れは、卵という言葉から割れ落ちた無数の破片によって堰き止められる。私はこの透明で広々とした妨害を乗り越えてこの文章を書いている。だから、そのような過剰に潤った痛みがこの文章の背後に持続し、文章の意味の細部にまで滲み込んでいることを忘れないでほしい。
私は自分の部屋に卵をいくつも飾っている。棚の上、テレビの上、食器棚の中、などなど。様々な角度で飾るために、様々な台を用いている。朝食を食べるときでも、卵は自然と視界の中に入ってくる。
卵は言葉のようなものを空中に流していて、その響きは私
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