最期のダンス/因子
 
と子供の頃は思っていた。首の付け根からお腹の少し下までを内側から覗くと真っ赤ながらんどうで内壁からは樹液のように真っ赤な血が滴っている。その中に胃袋やいろんな内臓器官が果実のようにぶら下がっている。沖縄でみた鍾乳洞のように、それらは滑らかで細かな凹凸を表面に描きつねにてらてらと濡れている。

それらのものが僕の中で熟して爆ぜて種を撒き散らすように血液や細かな肉片を飛び散らせたとき、君は僕を抱いてはくれないんだろう。

僕が弾けたり砕けたり潰れたり折れ曲がったりして最期のダンスを踊ったとしても、誰も血塗れの僕を抱いてはくれない。


僕はひとりでダンスを踊らなければならない。
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